「粗利益」と「売買差益」の違いを認識して、利益を管理していく方法
「粗利益と売買差益は同じものだ」……と混同して考えている方が多いと聞きます。
確かに同じようなものではありますが、正確には解釈の仕方が微妙に違います。
「粗利益」と「売買差益」の違いについての認識と、日々の利益を管理していく方法を考えていきたいと思います。
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粗利とは
粗利とは、70円で仕入れたものを100円で販売した30円の利益のことだと思ってませんか?
確かにそうなんですが、そう単純ではありません。
今日70円のものを100ヶ仕入れたとすると7000円の仕入高になります。
それをその日のうちに1ヶ100円で100ヶすべて売れてくれれば10000円の売上高になり、3000円の粗利として全く問題はありません。
売上高(10000円)−仕入高(7000円)=粗利(3000円)
しかし現実はそう単純にはいきません。仕入れたものが全て売れるとは限らないからです。
100ヶ仕入れたうち80ヶしか売れなければ、売上高は8000円にしかなりません。そうすると、
売上高(8000円)−仕入高(7000円)=利益(1000円)
この利益(1000円)が、「売買差益」になります。
残りの20ヶは翌日以降に販売して売上高として計上されることになります。
仕入れ時期と販売時期にズレが生じていくので、単純に仕入れた金額と売れた金額の差額を管理していくということです。
その字のごとく、売り買いの差益…ということです。
売れた個数が80ヶの場合、売れた個数分の仕入高は……というと、
売れた個数(80ヶ)× 仕入原価(70円)=売れた個数分の仕入高(5600円)
…ですので、売れた分の利益は。
売れた個数分の売上(8000円)− 売れた個数分の仕入れ金額(5600円)=売れた分の利益(2400円)
この2400円が「粗利益」になります。
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粗利益とは、売上総利益のことを指します。
粗利=売上総利益
要するに「粗利益(売上総利益)」とは、
売れたもの(売上高)から、それに関する仕入れにかかった費用(売上原価)を差し引いた金額
「粗利益(売上総利益)=売上高-売上原価」
…で算出されます。
この公式の「売上原価」の部分がよく勘違いされやすいところです。
「売上原価」を「仕入高」と混同してしまう方が多いからです。
「売上原価」と「仕入高」は違います。
「売上原価」とは
在庫変動や商品ロスも加味して
「期首在庫高+仕入高-期末在庫高」
…の算式で計算された、売れたものに対して製造にかかった費用のことです。
「仕入高」とは
売れようが売れまいが、70円のものを100ヶ仕入れた7000円が仕入高になります。
ですから毎月「粗利益」を算出するとしたら、
毎月月末に棚卸をして、「前月から繰り入れした在庫」と「翌月に繰り越す在庫」の額をプラスマイナスした額とその月に「仕入れた金額」を総計すると、その月の「売上原価」が算出されます。
それをその月の売上高から差し引けば、「粗利益」が算出されるということです。
「粗利益(売上総利益)=売上高-売上原価(期首在庫高+仕入高-期末在庫高)」
毎日棚卸をするのはなかなか困難であるため、単純に日々の売上累計から仕入高累計を単純に差し引いて、その利益の差を確認していくのが「売買差益」……ということです。
「売買差益=売上累計ー仕入れ累計」
毎月の棚卸の繰り入れ額と繰り越し額がほぼ同じとみなして、日々の売上高の累計と、仕入高の累計を差し引きして利益が出ているか出ていないか日々確認していくものさしになります。
それぞれの時点(毎日の営業終了時点など)で、日々算出して管理することが望ましいでしょう。
「売買差益」は、仕入れが少ない日は利益が上がりますし、ドサッと仕入れて在庫として眠らせてしまえば利益は下がる要素を持ち合わせています。利益状況を確認する際に、その点も考慮して分析したほうが良いでしょう。
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