経営コンサルタントを入れるメリット・デメリット

経営が行き詰ったり将来の展望が見えなくなってくると外部の専門家にすがってみたくなることもあるかと思います。

そんなときの依頼先となるのがコンサルティング会社です。

スポンサードリンク

経営コンサルタントとは、企業の経営上の改善点を明らかにし解決策のアドバイスを行うとともに、専門的なノウハウやアイデアを提供し企業利益を増大させるお手伝いをするのが業務です。

経営コンサルタントにも幅広い領域があり、「経営戦略」や「人財育成」などの他にも「財務」や「会計」また「IT」などの専門的な分野に特化したものもあります。

 

しかし経営コンサルタントといっても企業を助けようと熱心に相談に乗ってくれるコンサルタントもいれば、自身のお金儲けのために単に「先生」というマスクをかぶっただけのコンサルタントもいます。

中小企業診断士といった国家資格はありますが、特に専門の資格がなくても明日から個人で起業して経営コンサルタントを名乗ることができてしまうものなのです。

下手にコンサルタントを依頼してしまい現状より経営が悪化したという企業も多々見受けられます。

 

コンサルタントに依頼するメリット・デメリットを把握した上で、今自分の企業に置かれている状況を踏まえ、コンサルタントに依頼すべきか否か、また依頼するとすればどんなコンサルタントに依頼すれば良いか真剣に検討しましょう。

 

 

コンサルティングを依頼するメリット   

これまで自社の力だけで事業拡大が上手く進められてくると、「井の中の蛙」……ではありませんが、これまでのやり方に間違いはない……自分達のやり方は素晴らしい……よそはたいしたことはない……などという「身勝手な思い込み」や「固定観念」が出来上がってしまいます。

そのうえで経営に行き詰まると何を改善すれば良いのか、また改善しなければならない事案を把握していてもどのように改善すれば良いのかわからなくなることがあります。

そんな自社内だけの見識やノウハウだけでは行き詰まりを感じた時、新たなる風を吹き込み現状を突破し、さらなる利益拡大の見通しを期待したいと思えることがコンサルタントを依頼するメリットとなります。

 

ではどのようなメリットが得られるのでしょうか?

 

①社外の成功事例などの情報が得られる

業界外部の成功例・失敗例など様々な情報が得られ、改善策や今後進むべき選択肢を提示してもらえるメリットがあります。

 

しかしそれを鵜呑みにして自社にそのまま取り入れて成功するか否かは別問題となります。あくまで情報が得られることだけがメリットと考えた方が良いです。

なぜならば、人間が10人十色皆違うように、企業もまた同じスーパーマーケットを経営していてもそれぞれは全く違うものだからです。

 

良いことはマネを して自社に取り入れるのは良いことですが、自社なりのスタイルにアレンジして取り入れることが肝心です。

 

②専門的な知識やノウハウを得られる

人事考課・給与賞与昇級システムなどの構築や労務管理手法の改革、社員教育のマニュアル作成や、研修遂行ノウハウ、またITを駆使した数値管理や財務・会計システム構築、さまざまな情報分析技術、広告や流通システムの構築など専門的な項目での依頼をしてレベルアップを図ることができます。

専門的知識がない人が集まってゼロから構築するよりも、コンサルタントに入ってもらい、自社の改革したい部分を専門的なアドバイスをもらいながら進めた方が、問題解決や改革するための試行錯誤の時間短縮ができるメリットがあります。

 

②業界の「当たり前」を知ることができる

現代ではそうそうないでしょうが、ひと昔前の中小企業の中には売買差益とは何か……客数×客単価がどうとか……の数値管理や商品構成の仕方や販売手法・販売理論などの教科書に記されているようなごくごく当たり前のことすら理解しないで商品を販売してる企業もありました。

そういった企業は「業界の当たり前」を知ることができるメリットがあります。

 

③社内の昔からの「悪しき習慣」を改善するきっかけ作りができる

今でこそないでしょうが、自分達の利益を得るために「製造日の改ざん」や「賞味期限切れの食材の使いまわし」など当たり前に行っている企業もありました。

それほどひどいものではないにしろ「サービス残業」や「法定違反となる労務管理」などブラック企業といわれる悪しき雇用問題など、世の中の倫理に反する悪しき習慣に気付かせ改善させるきっかけになることができるメリットがあります。

スポンサードリンク

コンサルタントを依頼するデメリット   

コンサルタントに依頼すれば必ず実績が上がり企業利益が増大するか……といえばそうでもありません。

コンサルタントに依頼することにより経営が悪化するケースも多々見受けられます。

いくつか悪化したケースからデメリットとなる事例として紹介しましょう。

 

①依頼するコンサルタントの選定ミスをしたケース

コンサルタントは自分が経験してきた分野の範囲の中でしか指導できません。極端な話、ディスカウント販売が専門のコンサルタントに品質重視の方向性の企業のコンサルタントはできないのはご理解いただけるかと思います。

専門分野違いのコンサルタントに依頼すると自社の方向性と違う方向に導かれ社内はぐちゃぐちゃにさせられます。

コンサルタントの選定を見誤ると経営が悪化するというデメリットがあります。

 

例えば私が知っている一例をあげますと、ちょうど1990年代の牛肉自由化などで価格破壊というディスカウントブームが巻き起こった頃の実際にあった話です。

150坪程度のスーパーマーケットで小さいながらもきめの細かい品揃えをして、そこそこ実績も良かったスーパーマーケットが、知り合いに紹介されたというだけでそのコンサルタントに販売実績向上を目途に依頼をしました。

しかしそのコンサルタントはディスカウント販売を得意とするコンサルタントでした。

それまでそのスーパーマーケットは3段の低多段ケースを中心にきめの細かい品揃えをしてきましたが、コンサルタントに「これからはディスカウントの時代だ」「単品集中で売上確保したほうが良い」……と、低多段ケースをすべて平ケースに変えさせられ、商品アイテムを絞り込んで単品量販スタイルでボリューム陳列をする販売手法に変更させられました。

その結果それまでの顧客は離れ、安物買いの流動客がメインとなってしまい客単価が下がり売り上げが半分近くまで激減してしまいました。

結局コンサルタントに依頼したことで失敗に終わる結果となったわけですが、コンサルタントが責任を取るわけではありません。低多段の冷蔵ケースなどに入れ替えてリニューアルに投資した莫大な費用も効果を得られず逆効果となり消えてなくなった格好になったわけです。

 

それ以降商品アイテムを増やす努力はしたものの、平ケースではキメの細かい陳列をしてもぐちゃぐちゃに陳列されてるようにしか見えず、売上実績は伸びず倒産する羽目になりました。

コンサルタントは所詮、月に数回しか自社に訪れない外部の人間で、仮にその会社が潰れようが他の顧問先があるので困りません。

 

恐らく品質重視を得意とするコンサルタントに依頼していれば結果は違っていたのかもしれません。

 

それぞれの会社にはその会社ならではの長所があります。外部で成功したからと言ってコンサルタントの提案を鵜呑みにしてその事案をそのまま実行すると長所を潰されてしまうこともあります。

 

言っていることは正しくてもその会社には合わないプランを押し付けられることも多々あるのです。

 

依頼したコンサルタントが自社の長所を理解できない人であると状況が悪化するというデメリットがあります。

 

②自社の社長がコンサルタントを信用しすぎて潰されるケース

中小企業のトップである「社長」が「従業員スタッフ」と一緒になって実績を上げるために試行錯誤している間はみんなまとまってひとつの方向に向かって突き進んでいることが多いですが、会社が少し大きくなってくると社長が現場から離れてコンサルタントを入れ「コンサルタントの言う事は社長の言葉と思って即実践しろ!」……などと、コンサルタントを信用して丸投げしてしまうケースが多々あります。

あまりにも社長がコンサルタントに頼りすぎてしまうと、コンサルタントが人事・給料の決定権まで多岐にわたり権限を持ち、あたかも会社の社長であるかのように企業をほぼ私物化するようになります。

ひどいコンサルタントにもなると、メーカーから無料でもらうカタログを企業に売りつけて金儲けをするような悪徳コンサルタントも私は知っています。

従業員スタッフは馬鹿ではありませんのでコンサルタントの下心はお見通しです。

 

現場を知ろうともせず教科書通りのことしか押し付けてこないコンサルタントが上から目線で業務命令をしてきても「何言ってんだよ〜!」と従業員スタッフは反発心を抱くだけで心を開けず、混乱し、方向性を見失い士気の低下が始まり実績が落ち込んでいきます。

 

経営者としてお店やスタッフを切り盛りできる器のある人が社長をやっているわけで、コンサルタントが必ずしも会社の経営者の器があるわけではない……ということを認識しておいた方が良いと思います。

月1回または数回しか自社に訪れないコンサルタントにスタッフがキチンとできているか否かの指導を委託するのはどだい無理な話です。

あくまでも理想を語るアドバイザー的な存在としての線引きをしっかりとしておきましょう。

コンサルタントに余程の人望と実力のある人がいれば良いのですが、あまりにも、社長がコンサルタントを信用しすぎて会社運営を丸投げしてしまうと、ほとんどの場合スタッフに士気低下が起こり実績が下降線になるというデメリットが発生します。

 

③社員教育を目的として顧問契約をしたケース

基本的に月1回の幹部会議と称してコンサルタントが講義を行い、幹部社員の教育を依頼する企業もありますがそれは大きな間違いです。

コンサルタントは幹部社員の教育といっても「こうしたら売れる……良くなる……」などの販売手法を雲の上の理想を語るだけで、そこに到達するまでの手法や苦難の乗り越え方を指し示すことができないことが多々あります。

このような講義をしてもらうだけの顧問契約は経験上あまりおすすめできません。

 

会議というよりは独りよがりの講演のようなコンサルタントの話をスタッフは右から左へ聞き流して時間を潰すだけに終わっていることがほとんどです。

当然コンサルタント費用も掛かってきますので費用対効果も得られず、無駄な費用の使い方となることが考えられます 。営業利益が削られますので賞与が減少することも多々あります。

 

それをするなら目標数値の設定の仕方や、実績を評価した給与・賞与などの付加価値の設定方法などの人事考課など……社員・パートスタッフがどのようにしたら士気が高められるか……などの話し合いに参加してもらい自社なりのシステムを構築するアドバイスをしてもらう方が余程良いと思います。

 

自社が改善しなければならない事案も明確になっていない状態でただ漠然と教科書通りの話を聞くよりも、自社の改善しなければならない事案を掘り起こして、改革案を出し合いディスカッションした方が自社のためになりますし、そういう自主的な会議をした方が余程スタッフの士気向上につながり実績も上がることになります。

 

コンサルタントを依頼するのであれば、自社に足りない部分や改善したいけど知識がない場合にその事案に専門的に知識を持つコンサルタントに入ってもらいアドバイスをもらいながら一緒に改革してもらうような顧問契約の仕方が望ましいと思います。

 

講演を聞くのではなく自社スタッフとともに現状を踏まえてシステムを構築するために一緒になって考えてもらう‥…

コンサルティングは提案をするまでが業務で、実際に現場で業務を行うのは企業スタッフであることが一般的となります。

あくまで自社スタッフの士気が上がるようなシステム構築のアドバイスを頂くようなコンサルタントの使い方をした方が良いでしょう。

 

 

経営コンサルタントを入れても良い事案

  • 人事考課・給与賞与昇級システムなどを構築するアドバイス
  • 労務管理手法の改革のアドバイス
  • 社員研修項目の確立と研修方法のアドバイス
  • 商品構成・陳列技術・ディスプレイなどの販促手法のアドバイス
  • 効率的な広告などでの集客アップ手法のアドバイス
  • 「財務」や「会計」また「IT」などの専門的な分野に特化した事案の構築

……などに限ります。

自社の課題となる事案を軸に具体的な目的を持って依頼することがポイントです。

目的を明確にすることで効果的なコンサルティングが受けられます。

自社にあったコンサルタントをお願いすることをおすすめします。

 

コンサルタントに依頼するとき大事なことは、依頼してみようと思うコンサルタントの実績や評判、自社の課題にアドバイスできる専門的知識を持った人かどうか……を見極めることです。

 

コンサルタントへ依頼する際どんな目的で依頼するのか……あらかじめ明確にして慎重に検討しましょう。

スポンサードリンク

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA