豚肉売り場を広げても、売上が上がらない理由
牛肉売場は、上手な商品構成で売場を広げることで、売り上げはアップします。
ではそれと同様に、豚肉の売り上げアップのために、「豚肉の売り場を広ければ良い」……と、考えるのはどうでしょうか?
……残念ながらその考えは、ちょっと早計です。
豚肉に関しては、最低限の売場尺数があれば、それ以上いくら売り場を広げたところで、来店客数に対する構成比はさほど変わらない……という特性があるのです。
ですから、お店全体の来店客数が増えない限り、豚肉に売り上げはなかなか上がらないのです。
「そんなことはないでしょう」……と思うのであれば、一度試してみてください。
豚肉の売場を広げるということは、商品アイテムや陳列量を増やすことになります。
しかしそれをやっても、豚肉のトータル売上が上がらず、増やした陳列量がただのロスにつながる……という現象が起きてくることに気づきます。
そうなると、だんだんと豚肉アイテムひとつひとつの陳列量がそれぞれ少なくなり、売り場がスカスカでボリューム感が落ちることに陥ります。
まったく豚肉の売上が上がらない…とは言いません。
豚肉売場を広げた分、多少なりとも売り上げはアップすることでしょう。
しかし、限られた売り場のなかでやりくりするわけですから、豚肉の売場が広がれば、他の売場が縮小し、その縮小したカテゴリーの売上が落ちるでしょうから、お店全体か精肉部トータルとしての売上は変わらなくなるのです。
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豚肉のアイテムは、それぞれの部位のスライスものが主体です。
あとは、ロースや肩ロースの焼肉用や切り身・しゃぶしゃぶ用など、厚さの違うアイテムがある程度です。
ですから、豚肉の売場を広げる場合、アイテム数を増やさずに、売れ筋商品アイテムのフェイス数を2フェイスから3フェイスに広げるとか、輸入豚のスライスアイテムを増やす……などをするくらいがいいとこではないでしょうか?
なぜ、豚肉の売場が広がって、このように、フェイス数を広げたり、輸入豚のアイテムを増やしても売上がアップしないのでしょうか?
それは例えば、豚肉バラスライスが欲しい人は2フェイスだろうが3フェイスだろうが、その中からそれぞれの家庭で消費する必要な分だけのパック数しか買わないものなのです。
2フェイスが3フェイスに広がっているから、いつもよりたくさん買おうとか……という心理にはならないものです。
では輸入豚が増えた分、売上が上がるのでは……と思うかもしれません。
これは、「この店には輸入豚のアイテムが豊富だから来店する」……という、今まで来店されなかったお客様が増えてくれれば、その部分ではプラスになります。
しかし、今まで国産豚を購入してくださっていた顧客が、「輸入豚のほうが安くていいわ」……と国産豚から輸入豚にシフトするお客様がいらっしゃいます。
その部分では、売り上げが今までよりマイナスになります。
それに、豚肉だけ安い輸入豚コーナーを設けても、店全体で安いものを増やさないことには、今まで来店されなかった、「安物の狙いのお客様」を増やすことは容易なことではありません。
豚肉に関しては残念ながら、国産豚を買って、プラスアルファ輸入豚を買う……という現象が起きにくいのです。
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それに日々、何かしら豚肉アイテムの特売を仕掛けていると思います。
例えば、今日の特売は、豚モモスライスが100g当たり98円だとします。
いつも、豚小間切れや、肩ロ―ススライスを300g購入していたお客様が、「今日は豚モモスライスでいいわ」と、「豚モモスライス」を300g購入して、肩ローススライスは買いません。
このように単純に、購入する商品をシフトしてしまうだけなのです。
特売商品のフェイス数を4フェイスも5フェイスも広げてみたところで、その中から300gのパックを選ぶだけですし、毎日何かしら特売をしているでしょうから、今日安いからあわててたくさん購入しておかなければ……という心理にもなりません。
逆に、フェイス数を最低限の3フェイスくらいに絞って、常に「切りたて、切りたて…」で商品を追加していったほうが、鮮度感が増して、売上がアップします。。
日本では豚肉売上の大半が、スライスものです。
豚肉に関しては、それぞれの家庭で必要な消費量が決まっているので、その量を国産豚と輸入豚で分け合って購入されるだけ……という特性があるので、売り場を必要以上に増やしても、売り上げが上がらないのです。
しかし、豚肉の売上をアップさせることができるお店もあります。
それは、黒豚コーナーをまだ設けていないお店です。
このお店は、豚肉売場にプラスアルファ、黒豚コーナーを縦に3尺くらい確保すると、売り上げはアップします。
しかしそれが豚肉売場を広げる限界で、豚肉売場を広げられる状況があるのであれば、その分、牛肉売場を広げるべきです。
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