鶏肉売り場商品構成の方法・考え方

お客様は押し売りされると身構えてしまう心理があります。

売り場でも無言のうちに「これを買え!」という売る側の一方的な気持ちが前面に出てしまうと、それがお客様に伝わり買うことに抵抗を覚えてしまうこともあります。

それはどういうことかといいますと、お客様に「選べる余地」がないということです。

 

せめて、売れ筋に関しては「上中下」で、3段階レベルの鶏肉の種類の商品グレードを取り揃えてあげる必要があります。

鶏肉の売れ筋といいますと、「モモ肉」がダントツでその次に「ムネ肉」です。

「当店では鶏のモモ肉・ムネ肉は○○鶏のものだけしか扱ってません」ではダメ……ということです。

 

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基本的な商品構成      

具体的な商品構成を上げてみますと、

上が、「名古屋コーチン」

中が「赤鶏」クラス、

下が「日南鶏」

……などの銘柄鶏という具合です。

下をただのブロイラーにしてもいいのですが、鶏肉の場合、メインで売れるランクが下のランクになるでしょうから、そこを他店との差別化をしっかりとつけておいたほうがいいのです。

ブロイラーをメインで販売していますと、他店との差別化は価格競争がメインになってしまいます。

 

「名古屋コーチン」や「赤鶏」なんて高くて売れずにロスになるよ……だから、売れ行きの良いブロイラーランクのものを3種類選択して品揃えすればいいのでは

……というかもしれません。

では選べる余地をつくるために、売れ筋の価格帯の「モモ肉」を3種類品揃えしたとします。

同じようなランクで産地が違うものが2点、

その他、多少安いブロイラー1点

……のような3種類の商品構成にしてみましょう。

 

例えば、「東北の十文字鶏(菜彩鶏)」と「九州の日南鶏」それに、「名もなきただのブロイラー」

 

これでは選べる魅力という意味においてはまったく魅力を感じません。

なぜなら、ただ産地が違うだけで、味の違いはさほど変わらず、価格帯も同じようなもの……ただの名もなきブロイラーは若干価格が安いかな~という程度です。

 

しかもこれでは、名もなきブロイラーがメインで売れていき、価格競争に巻き込まれ、少しランクが上の「日南鶏」クラスの鶏肉がほとんど売れなくなります。

 

結局のところ、鶏肉は一番下のランクがメインで売れるような性質がありますので、その上のランクの売れる割合は大幅に低くなるのが現状です。

ですから、どこをメインに販売していくかを決めることが重要になってきます。

 

 

店のコンセプトがディスカウント主体のお店は、

名もなきブロイラーをメインにして価格競争だけに専念し、

その上の高級グレードの鶏肉には手を出さず、

逆に、海外産の安い冷凍の鶏肉を2kgの袋のまま、安く価格訴求をして、安さのイメージを作っていくべきです。

ここでは、ディスカント店の鶏肉の商品構成ではなく、大半のスーパーマーケットの”ひとつ上の質”を求めるスーパーマーケットの鶏肉の商品構成を考えていきます。

大半のスーパーマーケットの鶏肉は名もなきブロイラーがメインです。

ここ最近やっと、ひとランク上の銘柄鶏をメインで販売するスーパーマーケットのが増えてきたようなところです。

 

名もなきブロイラーをメインで販売していると、どうしても価格競争に巻き込まれやすいです。

なぜなら、ディスカウントスーパーが、名もなきブロイラーを薄利多売でエブリデーロープライスや安い価格の特売で、これでもか~というくらいに販売を仕掛けてきます。

 

近くにそんな店があれば、お客様は「鶏肉はディスカウントスーパーで買う……」。同じものだったら安いほうがいいに決まっています。

しかもそれだけではありません。同じものが例えディスカウントスーパーであろうが、他店より高いということは、「この店はすべて価格が高い店だ……」というイメージまでお客様に植え付けてしまう恐れもあります。

 

鶏肉は原価が低いので、いくらでも安く販売し、対抗することはできるでしょうが、安くしたところで、ある程度の量を販売すると、売れる量が頭打ちになります。

商圏範囲は決まっているわけで、その商圏の消費する量にも限界があるからです。

価格を安くする分、いつもよりたくさんの量を販売しなければなりません。

しかし、商圏の消費量が決まっている以上、いつもの販売量以上に販売していくことは至難の業です。

よって売上向上も、さほど見込めません。

(売り上げを上げるために、安売りに踏み切ることはどういうことか参照

 

恐らく、安く売ろうが定番価格で売ろうが、トータル売り上げはさほど変わらないことに気づくことでしょう。

しかし、メインで販売する鶏肉を「日南鶏」クラスにすると、歯ごたえもあってジューシーで美味しいですから、お客様の印象は、「このお店のお肉は美味しい……」…となります。

例え販売量が増えなくても、名もなきブロイラーより、若干単価が高いことから鶏肉の売上客単価が上がります。

鶏肉の売上客数や、販売量が落ちるかと思えば、まったく落ちません。

そうなると、ディスカウントスーパーがいくら特売をして安く売ろうが、まったく影響を受けなくなります。

 

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鶏肉は、どちらかというとリ粗利が稼げるカテゴリーです。逆に牛肉は粗利が稼ぎにくいカテゴリーです。

しかし、牛肉は拡販すればするだけ、極端に売上は向上していく要素のあるカテゴリーです。

 

鶏肉は拡販しても、極端に売上の向上は見込めないカテゴリーです。

そうであるからこそ、牛肉は、薄利になっても売上UPの戦略に用い、牛肉で粗利の足を引っ張られる分、鶏肉で粗利を確保していくことが理想でしょう。

そうすれば、精肉部としての売上は向上しつつ、しっかり粗利も確保できることでしょう。

牛肉のロスがゼロ!!  毎日完全に売り切る「売場戦略」の方法?

 

ですから、鶏肉の商品構成は、

上ランクで、「名古屋コーチンのセット」を仕入れ、極力ロスが出ないように注意をし、

中ランクで、「赤鶏」クラスの「モモ肉」「ムネ肉」だけを1日ごとに売れる数だけ仕入れ、

下のランクでも「日南鶏」クラスの銘柄鶏のランクで構成します。

 

もちろんメインは「日南鶏」になり、仕入れる部位も「モモ肉」「ムネ肉」をはじめ、「ササミ」「手羽元」「手羽先」「砂肝」「レバー」などすべて、「日南鶏」で揃えます。

 

たまに、名もなきブロイラーの「モモ肉」を特売用として仕入れ販売しましたが、「日南鶏」の「モモ肉」の売上が食われるだけなのであまり意味がありませんでした。

やるんだったら、「日南鶏のモモ肉」をおもいきってブロイラーの特売価格で販売してあげたほうが、「日南鶏」の宣伝にもなって、多くのお客様に美味しさを味わってもらえる観点から、それをおすすめします。

豚肉売り場を広げても、売上が上がらない理由

 

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