個人商店から企業組織へ変革の必要性
<個人商店から企業組織へ変革に必要なこと>
創業したての頃は、父ちゃん母ちゃんで切り盛りした店が、”ちょっと大きくなっただけ”…の会社規模なので、“行き当たりバッタリ”の対応でも、その日暮らしの経営はしていけます。
しかし、企業規模が、年商10億を越えたあたりから、そうもいかなくなります。
この企業規模になってくると、組織基盤となる会社の土台作りが、第一の難所となり、今後の発展か、衰退かの分かれ道の分岐点が、やって来ます。
創業者がいくら優秀でも、一人で管理できる範囲には限界があります。
組織基盤となる幹部組織が育たない限り、会社は成長していかないのです。
会社が順調に発展し、店舗が増えてくれば、店舗を任せられる店長や主任などの、幹部が必要になるからです。(上司の理想像は「部下が望む理想の上司・悪い上司」をご覧ください)
幹部が育たない限り、店舗数も増やせません。
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<企業が衰退する負のスパイラル>
幹部の育成が伴わず「なんとかなるだろう!」…と、無理をして、店舗数ばかり増やしていると、店長や中堅幹部の指導力や実力が至らず、遅かれ早かれ、広げた店舗の運営が行き届かなくなります。
幹部、管理職としての力が備わっていない者たちが、名ばかりのリーダーとして、権力をふるいかざし、見よう見まねで、でたらめな店の運営をするわけですから、つぶれるのは目に見えています。
そのときはもう、行き詰まるどころか、赤字を膨らませていることになっているでしょう。
そうなると、やむを得ず、その赤字になっている不採算店舗を閉鎖することになっていくと思いますが、閉店するにあたり、店をスケルトンにして返す費用や、人員整理にかかる費用など、閉店するにも膨大な出費が掛かってきます。
その費用は……というと、既存店舗の利益という限られた資金から捻出するため、どうしても既存店舗で頑張っているスタッフに、そのしわ寄せがいってしまいます。
当然、給与・賞与に影響が出始めるのです。
このとき経営者はこう言います。
「今は会社の危機だ、我慢してくれ!」
心ではわかっていても、スタッフからするとたまったものではありません。
「何の計画性もなく、ただ出店し、閉店に追いやられ、借金を増やしただけの経営陣の失態を、なぜ私たちが……?」「今は我慢してくれ…って?」「今までだって“そのうち給料を上げてやる~そのうち~そのうち~”と言うので我慢してきたんだ」 …と、士気低迷は避けられない状況に陥ります。
その他、優秀な幹部、管理職者が育っていないがために、スタッフの士気が低迷しているありがちな光景をあげてみます。
・幹部としての心構えや、行動指針を教育せず、権力だけを与えてしまっているので、ただ威張り散らしているだけの無能な幹部が、我が物顔ではびこっている。
・幹部による朝令暮改が甚だしく平気で行われ、スタッフが右往左往し、しまいには、何も言うことを聞かないようになってきている。
・幹部が、意味不明なことで、自分の上司を、みんなの前で罵倒している。
・形式ばかりにとらわれ、臨機応変な判断ができないものが幹部として指揮している。
・何の指示命令も出せないものが、名ばかりの幹部として居座っている。
・上からの指示命令を、伝書鳩のように下に下ろすだけの幹部
・部下の意見を取りまとめて上司に進言することができない幹部
・自分がすべき業務を部下に丸投げする幹部
・上司のご機嫌伺いばかりが、仕事の基本になっている幹部……などであります。
スタッフは、こういう管理職者の行動を見習おう…とはしませんし尊敬もしません。スタッフは、見てないようで、しっかり見ています
また、役職手当として支給する額が少なく、一般社員との給与の格差が少ない、中堅スーパーマーケットにありがちなことは、
「管理職者は、責任の負担に見あった役職手当てがもらえないらしい…」という風潮が出回り、「こんなんでは、責任の重さに見あわない…」「役職者にはなりたくない」…という社風ができてしまいます。
こうなると、優秀な人財の出世意欲を削ぎ、自分の力を最大限発揮しようとしない社風になってしまいます。
当然、優秀な人財に役職の辞令を出しても、辞退されるようになります。
しかし、誰かしら、管理職を配置しなければならないため、 上司にとって使い勝手のいい、ただのイエスマンで、無能な者が管理職者になります。
これで、無能な管理職集団の出来上がりです。
管理職者の幹部会議でも、上司の一方的な言葉で終わり、なんの意見も出ない会議になります
その結果、ますます、管理職者がスタッフにバカにされるようになります。
これではいけない…と、管理職者を募集します。
他の企業の優秀な管理職者は、それなりの優遇を受けているでしょうから、そう簡単には転職してきません。応募してくるのはたいてい、窓際に追いやられた、無能な管理職経験者ばかりです。
それに、そのような管理職者を採用すると、我が社の良きも悪きもわからず、自分のダメな経験を押し付けようとしますので、方向性がバラバラになり、まとまらなくなります。
会社の方向性を信じて、ひとつづつ積み上げてきた一般社員は、たまったものではありません。これでさらに、一般スタッフの士気も低迷し始めます。
そして、仕事をやっているふり、考えているふりをするようになります。
優秀なスタッフは、 「この会社はダメだ!早く見切りをつけなくては…」と、どこにでも転職先のある優秀なスタッフほど、いち早く去っていきます。
残るのは、他の企業には雇ってもらえないような、人財ばかりです。悪循環の始まりです。
その結果、目に見えないように衰退の一途をたどるようになるのです。
ですから、個人商店で切り盛りしてきて店舗数が増え、ある一定の時期がきたら、組織としての、しっかりとしたシステムの基盤作りと、優秀な幹部の育成に力を注ぐことが必要なのです。
(人事考課システムについては「給与の昇給に対する考え方」
「給与・賞与の決定方法」をご覧ください)
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<企業の発展に必要なこと>
このように、企業が発展していくには、優秀な管理職者が多数、必要になります。
スタッフを育てるのは誰でしょう? ……もちろん幹部、管理職者です。
スタッフ募集をかけて、優秀な人財ばかりが集まり、それぞれが自分たちの意思で士気を高め、売上・利益を向上させていってくれれば、なんの問題もありません。
しかし、そんな人財ばかりが集まることは、現実的に、ほぼあり得ないと考えられます。
そのため、入社してきたスタッフを育成し、道筋を作ってあげられる管理職者や教育者が必要です。(理想の管理職者は「管理職者の役割と資質」
「管理職者(マネージャー)の職務」をご覧ください)
その管理職者・教育者は一人や二人ではダメでしょう。
どんなに優れた管理職者・教育者でも、一人でこなせる仕事は限りがあります。
店の規模に比例して、より多くの管理職者・教育者を配置していかねばなりません。
スタッフを育成できる優秀な管理職者・教育者が増えれば増えるほど、企業は発展していきます。
そして、一般スタッフは、そういう管理職者を見て育ち、管職者に憧れ、そのうち“自分もそうなりたい”…と思うようになるのです。
そうなると、雪だるま式に優秀な人財が増え始めます。向上心が芽生えるのです。
良いスタッフを育成するのは管理職者です。
良いスタッフを育成するために研修スタート時点から、徹底的に我が社のポリシーを叩き込みます。
そして、それぞれの現場でそれを引き続き実践し、継続していかなければなりません。
それぞれの現場で、我が社のポリシーにそって教育し続け、スタッフの心をひとつにして、同じ方向に前進していかなければならないのです。
そうしなければ、基本マニュアルやポリシーなどは “絵にかいた餅” となってしまいます。
それには、各部署、各セクションに教育できるスタッフが必要になります。
それを担う対象者となる人は、店長・部門長・主任など管理職者でしょう。
そして、現場で身近でこまめに、教育・監督する人も必要になりますので、現場の社員やパートリーダーの中で、トレーナーとなる人を育てなければなりません。
これらの教育者レベルの向上が、絶対的に不可欠なのです。
企業が発展し前進していくには、同じ方向に導いていける管理職者や、教育者の育成と、増員が絶対欠かせない、重要なテーマになるのです。
人財教育に力を入れても、短期間に売上や利益の数値が表面的に結果として即、表れるものではありません。 売上・利益は変わらないのに、教育に関わる経費はかかります。
教育をしたところで、すぐに効果が上がるものではありません。 目先の数字は上がらず、そのくせコストはかかります。「育てる」ということは時間がかかるものなのです。
しかし、“スタッフが育つ”ということは、競合店との差別化が強化される…ということになります。これをやらずして企業の成長はあり得ません。
“人財育成なくして企業の成長なし” ……ということです
全スタッフが、同じ方向に向かって 「よし、やってやろう」…という気持ちで本気で打ち込まなければ、利益も生まれず、企業成長はないのです。
「良い人財があってこそ会社が成り立つ」 ……ということです。
反対に、悪い企業の例をあげてみますと
「人をいちから育てるなどと悠長なことは言ってられない」
「給料を払っているのだから一生懸命働くのが当たり前だ!」
「会社あってこその、人材である」
「会社員たるもの文句を言わずに黙って会社のために働け」
……などと、身勝手な価値観で人を動かそうと思っても、人は動きませんし、人は育ちません。
また、一方的で無茶苦茶な業務命令への絶対服従や「やる気がないなら辞めろ!」などと、 権力を笠に脅し文句で、人を動かそうとすることしかできない管理職者を野放しにしている企業は、最悪の極みであります。
企業組織に、軍隊的な洗脳方法の考え方を適用するには、無理が生じます。
企業組織は、スタッフが自らの頭で、率先的に考えることのできる集団にしなければなりません。それには、提案できる企業環境の土台作りを構築するべきなのです。
なぜならば、目まぐるしい時代の変化とともに、毎年売れるものが変わってくるスーパーマーケットの仕事は常に、豊かな創造性が必要だからです。
これらのことからわかるように、良い人財を育てるには、良い管理職者が必要不可欠です。
スタッフと一緒になって考え、提案することのできる、柔軟な管理職者を育てることが、企業の存続に関わってくるといっても過言ではないでしょう。
個人経営がうまくいき、少し大きくなってきたら、”会社の存続と発展をさせていく”には、幹部、管理職者の育成が絶対に欠かせないのです。
幹部、管理職者になりたいと、スタッフ誰もが思うような社風を作るため、企業組織としての、しっかりとしたシステムの構築が大事なのです。
(人財教育については「人財教育の目的」をご覧ください)
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