”激安な安売り合戦”で陥る落とし穴
<安い店のイメージとは>
激安チラシをまくのは、
「競合相手から顧客を奪うためだ…!」
「当店は安い!……というイメージをつくるためだ!」……と言うかもしれません。
確かに醤油が178円という安さで特売されていれば、集客できるでしょう。安いイメージも作れるでしょう。そして、一時的に売り上げも上がることでしょう。
そう! 確かに、我が社のスーパーマーケットで、激安チラシをまいたときも、「押すな!押すな!」の混雑となり、その日の売上は、一気に上がりました。
しかし、そこで周りの他店が安売りをしないでいてくれればいいのですが、周りの店も「うちもやらなきゃ!」「お客様に来てもらわなければ!」…と対抗してきます。
チラシを見て来店した顧客は、
「普段、当店には来ないけど、価格が安かったので、今日はそれを目当てに来ただけ」 …というお客様が多く見受けられました。
ですから、他店が対抗してチラシをまけば、すぐにそちらに流れていってしまいます。
定番品でも同じことが言えます。
他店と同じものしか販売してなければ、定番価格を下げざるを得ません。
激安チラシで、単品を何点か、いくら”極端に安く”打ち出したところで、定番商品の価格が一般的であれば、「この店は安い!」…というイメージはつきません。
「高級品も売れるように……」と、店内装飾や、販売品目で高級品も取り揃えていると、尚のこと、「この店は安い!」…というイメージにはならないのです。百貨店が、イベントを組み、ある一角で商品を”破格値”で販売したところで、「百貨店は安い」……というイメージにならないのと同じです。
これらの流動客(バーゲンハンター)をキープするには、毎日、常にありとあらゆる商品で、破格値を打ち出し続け、すべての商品を、競合店より安く、販売し続けていなければならないのです。
そういう店をなんといいますか? そうです! そういう店のイメージが頭に浮かんできたのではないでしょうか。そうなんです、安いイメージがある店は、ディスカウント店か、ディスカウントスーパーなのです。スーパーマーケットではないのです。
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<スーパーマーケットが安売りイメージ戦略をとるリスク>
スーパーマーケットが安売りイメージだけで競合していくには、大きなリスクがあります。
ひとつめは、
いくつかの単品の価格を下げるだけなら、他店もすぐマネができてしまう……ということ。
ふたつめは、
チラシ掲載商品や、特売商品の売れ筋は、おのずと限られたわずかなアイテム数の中で回しているのが実状ですから、特売商品アイテムの
◆パターンが決まってくる
◆マンネリ化してくる・・・・・という悪いスパイラスに陥ってきます。
そしてそのマンネリ化した特売を続けることにより、段々と、安いはずのその価格が、顧客にとって当たり前の価格になってきてしまうのです。
「安売り(価格)は麻薬だ!」……と言われるように、安さがだんだんきかなくなり、
「これは普通だ! 今あわてて買う必要はない!」…となってくるのです。
そして3つ目に、
毎日、激安な価格の安売りをするということは、
安く売りながら利益を出さなければならない……ということになります。
スーパーマーケットは、ディスカウント店のように、戦略的に人件費をおさえるなどして、薄利多売の経営体制になっていないでしょうから、それなりの粗利益率を出さねばならないはずです。
極端に安い価格ばかりを打ち出していると、労働分配率が上がり営業赤字となります。
そうなると次第に利益を確保することを考ますので、どこのお店でも打ち出している、あたりまえの特売価格となってきます。 その結果、特に魅力もなくなり、さらに客数が減ってきます。
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<スーパーマーケットが安売り戦略をとった結果>
スーパーマーケットが激安の安売りをして、バーゲンハンターに荒らされた店は、以前の固定客がすでに離れてしまっているので、気が付くと、以前の集客さえも見込めない状況になっているということに陥ります。
ですから、スーパーマーケットが、極端な安売りの方向に走ると、”売り上げが落ち始める落とし穴”が待っているのです。
<売上が上がらないのは、スタッフの力量不足のせい?>
売り上げが上がらない理由として、スタッフの力量不足をあげる人もいます 。
売り上げや、利益が上がらないのは、
「激安チラシや、価格全面型の安売りが原因ではなく、スタッフの力量不足だ!」……という人もいるかもしれない。
もし、それが理由であるというのであれば、その力量を補うために、教育システムを見直したでしょうか? スタッフを育成する、具体的な考案がされているでしょうか?
おそらく、答えは「No!」ではないでしょうか!?
ではなぜ、力量不足が原因で、スタッフの教育が必要だとわかっていながら、この問題を放置しているのでしょうか?
その答えを聞くと、こう返ってきます。
「現場作業に追われていてそんな時間がない」
「教える人がいない・マニュアルがない」
「教育システムをつくる機関がない」……などであります。
「ですから、即効性のある安売りに、走らざるを得ないんだ!」
「教育する時間は、現場でその都度やればいい」…と、みんな一斉に口をそろえて言いながら現場では、いつもスタッフ一人一人に付きっきりで仕事をしているわけではありませんので、教育する機会はほとんどないのが現状です。
確かに皆さんが言うように、安売り・ディスカウントをしていると、 スタッフが、特売商品に関わる作業だけに追われてしまい、定番商品は、そんなに売れなくなるので、段々と片手間の作業になってきます。
そうなると定番商品が欠品だらけになったり、定番商品の売り場の前に商品を積んで、定番商品を取りにくくさせ、さらに売れなくさせてしまっていることに、気が付かなくなってきてしまうのです。
ひどいところになると、定番品を品揃えするオープンショーケースの前に前出しした、たいして魅力的ではない特売品だけで、商売しているような格好になっているお店もあります。
おすすめしたい、美味しい商品を新規に開拓するなどは、夢のまた夢である!
本来すべき仕事である「商品知識を得る勉強」「商品紹介」「商品開発」「商品説明」「丁寧な接客に費やす時間の確保」…などがおろそかになるどころか、眼中にありません。
ですから、 スーパーマーケットが、安売り・ディスカウントへ進むと、スタッフが価格に頼り始め、何も考えなくなり、スタッフの低レベル化が進行し始めるのであります。
………そして、衰退の一途であります。
これが、スタッフの力量不足で、売り上げが上がらなくなる落とし穴であります。
これらが、
スーパーマーケットが”激安な安売り合戦”に参入すると陥る、落とし穴なのであります。
<スーパーマーケットの本来の主体性は?>
スーパーマーケットが、安いイメージを作りたいのであれば、販売手法・経営手法をがらりとかえて、思いきってディスカウントスーパーに転身した方がいいのです。
(詳しくは、「スーパーマーケットが安売りイメージで成功する方法」をご覧ください)
スーパーマーケットとしては、安売り合戦に参戦する必要はないのです。
大手総合スーパーマーケットでも、「デフレの時代だから……」と思えば、母体のスーパーマーケットとは別に、ディスカウント形態の店を打ち出しているではないでしょうか。
中小スーパーマーケットを経営しているオーナーさん。
近所の競合スーパーマーケットが、
「何がいくらで、うちより〇〇円安い!」
「○○がいくらだったから、うちが勝っている」
……などと、ある程度、定番価格調査は必要ですが、それよりも大事なこと、いっぱいあるのです。
ひと昔前の感覚は、少し横に置いておいて、今の時代、
「どのように差別化を図っていくか」
「どのように独自性を打ち出していくか」
「そのためになにをしなければならないか」
「どんなオリジナルな商品を強みとして販売していくか」
……に重点を置いて、経営を立て直した方が良いと思います。
(詳しくは、「スーパーマーケットのあるべき姿」をご覧ください)
次に、「安売りをやめて方向転換した成功事例(経験談)」をご紹介します。
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