人事考課査定評価の項目と採点方法
<人事考課評価項目について>
人事考課でまず、「何を評価するのか?」について考えます。
業績に関しては、期待値に対して「売上・利益をどれだけ生み出したか?」…という、まさに業績の伸び率である数値結果を評価査定します。
そしてそれは、賞与額の配分を決定する際の参考資料にします。
しかし、給与額を決定する、人事考課査定表のチェック項目は、主に、
「取り組み姿勢」・「職務遂行能力」です。どんな項目を評価査定するのでしょうか?
……下記項目に例を示してみます。
これは、スーパーマーケットで働く上において、下記項目の能力開発が重要であると考えられる事項であります。我が社が将来に向けて、スタッフにどうあって欲しいかを示していることでもあります。
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≪取り組み姿勢≫
「責任感」:与えられた職務をやり遂げようとする行動
「協調性」:円滑運営の貢献・指示命令に対しての理解
「積極性」:モチベーション士気向上意欲・障害への意欲
「清潔性」:クリンネスに対する意欲
≪成績≫
「仕事の質」:仕上がり等、質的向上はどうであったか?
「仕事の量」:日常業務の量的拡大・作業範囲拡大
≪職務遂行能力≫
「あいさつ・接客」
笑顔(質):笑顔でのアピール度・好感度
発声(質):声の大きさ・明るさ
用語(質):正しい用語・丁寧な言葉使い
継続性(量):常に声かけしている度合い
サービス精神:顧客への気配り・おもてなしの心
対応力:クレーム・イレギュラー時の対応
「基本技能力」:各ポジションごとの基本技術習得度
「難易技能力」:各ポジションごとの難易技術習得度
「販売力」:売り込む力・商品を表現する力
「数値分析力」:あらゆる数値に関する認識度
「知識力」:商品知識掌握度・接客における商品説明上達度
「創意工夫力」:新たなる発想を持って改革案を提示出来る度合
「理解・習得力」:理解・習得の早さ(物覚えのよさ)
「指導・育成力」:下位者の能力向上・働きかけなどの推進度合
≪職務規律≫ (できるのが当たり前なのでマイナス評価項目)
「服装・衛生厳守」:服装・身だしなみ・手洗い・用具等の衛生管理
「就業時間厳守」 :出勤退勤・休憩時間・休日等の自己管理
「服務規律厳守」 :業務運営規則・社内ルール・ビジネスマナーなどの厳守
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<評価点のつけ方>
では評価項目が決まったら次は、スタッフのに対しての「評価点の付け方?」を解説します。
人事考課査定表の項目ごとに評価する際、下記の点数に置き換えるための、点数の基準となるものをそれぞれに設定して、細かい約束ごとを決めていきます。
≪S:5点≫…手本となるレベル
≪A:3点≫…特に優れていて申し分ない
≪B:2点≫…一般より優れている。満足できるレベル
≪C:1点≫…普通にこなせる。
≪D:0点≫…なんとかこなせる。
≪E:-1点≫劣っており努力を要するレベル
≪F:-2点≫著しく劣っており不満である
採点の際、基準となるランクはDとします。普通であれば…Dの0点ということです。
普通というのは、”これくらいできて当たり前”というレベルでります。
評価というのは、普通よりひとつや二つ、一般レベルより飛び抜けていなければ、評価とは言えません。
ですから、普通レベルは当たり前と見るので、評価点なしの…0点となり、 これを基準値と見なします。
一般職から管理職まで、同じ評価項目で査定することになります。
しかしこれらの項目において、一般職1等級・2等級や、主任・部長・店長など、階級ごとに、重要となる項目は違ってきます。
例えば、 管理職レベルの仕事は、数値分析力や知識、指導育成力などが重要な職務となります。その他、 会議などにも時間を割かれ、現場仕事の割合は減ってきます。
しかし一般職は、製造業務など技能の向上を生かした仕事、そして売場に張り付いて、接客や売り込み、が重要になります。販売の仕事は「売ってなんぼ」であります。
「売り場に品だしをして、売り場が埋まったらおしまい!」
…と勘違いする人がいますが、仕事は製造や、商品の仕入れ・品出しだけではありません。
製造技術は、毎日同じことを繰り返し行っていれば、自然と身に付いてくるものであります。
ですから、”日々の製造や品出しの仕事がひと通りこなせるようになった”からといって「一人前の顔をして欲しくない」のであります。
「商品を作ったらおしまい!」…ではないのであります。 販売力をつけることは、大変に難しい技術であります。販売力・売り込み力の向上が重要になります。
管理職は、数値分析力や、指導育成力そして、改革・革新のアイディアを、提示出来る発想力(創意工夫力)などの倍率を高くして、点数の格差をねらいます。
評価項目には、こういう願いが込められているのであり、そのことを、認識して欲しいのであります。
これらを考慮して、等級・役職によって、それぞれの項目ごとに掛ける倍率を変えて設定すればよいと思います。
例えば、 一般職等級は、接客や製造技能力などの倍率を2倍~と、点数が高くなるように倍率を設定します。
接客の笑顔の項目では、
一般職は×2倍
管理職は×0倍
反対に、 数値力や、指導力などは、
一般職は×0倍
管理職は×2倍… にする……などであります。
そして、みんな同じ目線で、それぞれの項目ごとに
S:5点 A:3点 B:2点 C:1点 などの点数をつけます。
一般職のAさんが、接客の笑顔の項目で、Aの3点をつけられたら、倍率は2倍なので、6点を獲得したことになる。
管理職のBさんが、接客の笑顔の項目で、Aの3点をとっても、倍率が0倍なので、3点の獲得にしかならなりません。
しかし、管理職は、数値力や、指導力の項目で力を発揮し、よい点を獲得すれば、倍率が高いので、高い点数を獲得出来ることになるのです。
そしてすべてにおいて、100点満点になるように、倍率をそれぞれに設定して、作れば良いことになります。
「スタッフにどうであって欲しいか」…によって、評価内容や倍率を変えて作ればよいと思います。
大事なことは、スタッフが自己の向上のために
・「何をしたか」
・「どのような結果を見せたか」
・「どこまで出来るようになったか」
……を評価すればよいと思います。
そして、すべての項目で、S:5点の満点をとり、それに倍率を掛けたときの総合点が100点となるように設定します。
それぞれの等級ごとで、重要になる項目の倍率が違うので、等級ごとの倍率の掛け方を検討します。
逆を言えば、各等級で倍率の高い項目は、その等級者の重要になる仕事であるといえます。
また、できて当たり前という項目は、あえて倍率なしで良いと思います。
では次回は、誰がどのように評価するのか、人事考課「査定評価」と「フィードバック」の方法は?について解説します。
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