人事考課 「給与・賞与の決定方法は?」
個々の給与・賞与の額を決める方法について解説します。
<給与額の決定方法>
ではまず、査定評価されたものを、どのように給与額に割り当て、給与を決定するか…について解説します。
給与の組み立て方は、◆基本給 ◆職能手当て ◆役職手当て …とその他、残業手当となります。
◆基本給は、
年齢給として、毎年わずかながらでも上がるものとしても良いと思います。
「勤続年数」を重ねることもまた、立派な実績と判断するのであります。
入社1年目より10年目の方が当然、戦力も勝っているということです。
昇給ピッチは、毎年500円~1000円でも良いと思います。
1年で、1000円昇給したとしても、10年で1万円の昇給額でしかありません。
ですから逆を言うと、自己の能力を向上させて、職能給を増やしていかないと、10年たっても給与は、さほど変わらないことになります。
◆職能手当ては、
職務に対しての能力に支払われるものであります。
人事考課査定の点数によって個々の力量が推し量られ、職能給として格差がつけられることになります。
職能手当ては、人事考課査定での、取り組み姿勢・仕事の質や量・技能的なものなど、能力の成果に見あった額を与えることが望ましいと考えます。
毎年、著しい向上が見られ、点数が上がれば賃金は増えます。
逆に、昨年度より職務に対しての意欲が見られず、低迷するようなことがあれば、職能手当てが減ることもある…ということです。
この職能手当ては、毎年の査定評価において付与する金額を、可能な限り上げ下げできるようにします。(但し、余程のことがない限り、下げることは望ましくないと思いますが……)
職能手当ての点数ごとによる支給金額の推移例は、「人事考課査定評価と採点方法」を参照してください。
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◆役職手当ては、
基本は、役割の重さ・難易度などによって格付けし、格差を与えるものにします。
ですから、店長・部長・主任として、同じ役職者であっても、役職手当てに格差をつけるということです。
要するに、店長としての役職手当てでも、A店長とB店長では、店長手当ての額が同じではなく、違ってくることもあるということです。
役職手当ての額に関しては、ただ「一律いくら」とせず、ここは、担当部署、店の実績を反映させるようにします。
担当部署や、担当している店の、年間の粗利額達成率の増減により、翌年の役職手当ての増減が決定するようにする……ということです。
これは、役職者としての年間業績に関しての、士気を上げることが目的であります。
店の年間粗利額の期待値をそれぞれに設定して、それに対しての達成率を公式に当てはめるような感じにします。
(期待値に関しては「業績の有無をどのように賞与額に置き換えるか?」を参照してください)
例えば、店長手当ての金額ベース10万円だとしますと、
その20%の2万円くらいは業績に対しての変動があってもいいと思うのです。
良い成績を納めた店長は、最大で12万円の店長手当て額。
業績が下がったりした場合、最小限の8万円の店長手当て額
… などとするのもいいと思います。
いずれにせよ、計算式となる公式は、あらかじめ決めておき、明確に示しておく必要があると思います。
人事考課の流れについては「評価査定」と「フィードバックの方法」は?をご覧ください
給与の昇給については「給与(時給)の昇給に対する考え方」をご覧ください。
<賞与額決定方法>
では次は、賞与支給にあたり、「賞与額の決定方法」について解説します。
まず、そもそも賞与を支給できるか、額はどのくらい出すことが可能か?……など、
「賞与支給についての考え方」
について解説します。
賞与額の大部分は、業績を重視して利益配分が得られるような、相対的配分方式の評価の仕組みを構築すれば良いと思います。
全店が頑張って利益額をたくさん生み出せば生み出すほど、 報酬原資は大きくなるというものです。
自部門・自店舗の「業績の伸び率」の数値結果によって、この報酬原資を配分する方程式を作れば良いのであります。そうすれば、おのずと伸び率の高い部門や店は、取得できる割合が高くなり、たくさんの賞与額を取得することができる…ということです。
基本ベースとなる賞与原資は、毎月の営業利益から、賞与引当金として留保しておき、仮に期待する伸び率がなくとも年2回は最低限の賞与を支給できるようにしておきます。
もちろん、この賞与引当金をベースにもっと利益額を増やし、賞与の報酬原資を大きくする努力をするべきですが、仮に赤字となってしまった場合は、賞与引当金で留保しておいた基本ベースを切り崩して、営業利益の補填に割り当てなければならなくなります。
そうなれば、賞与は、支給されないことになるか…、支給されても「すずめの涙」でありましょう。
成果として営業利益が生み出されなければ、賞与は支給されないということであります。
要するに「ない袖は振れない」「自分の取り分は自分で稼げ!」 …ということです。
賞与額を決定する業績は、半期ごとにリセットされ、クリアになるようにします。
賞与額は、「毎年積みあがっていくものではない」ということです。
前期、たくさん支給されても、今期の業績が悪ければ支給額は前期より下回ることもある…ということです。
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では次は、
「賞与の配分を決める業績(成果)とは何か」
…を解説します。
それぞれの店舗の立地条件や状況が違うので、各店それぞれの現状レベルを基本ベース(期待値)にして、「その基本ベース(期待値)に対してどうであったか?」を見るようにします。
そうすることで、自身との競争になり、比較的公正公平に見ることができるのです。
そうでないと…
・「売り上げの大きい店は有利だ」
・「競合店が少ない店は有利だ」
・「A店は、リースも終わっているし、家賃も安いから営業利益がでやすい」
・「あの店は、スタッフが多いから手間隙かけて利益が出せる。
こちらの店は、人手不足で手が回らない」……などなど、
不公平の不満を言い出せばきりがないくらい、いろいろな言い分が出てくるものです。
それぞれ個々の環境の違いにより「モノサシの大きさ」が異なるものであります。
ですから、それぞれの店・部門の基本ベースを、期待値として設定して、そこからどれだけ業績を伸ばせたか…を成果と見なすようにします。
但し、業績が出される過程において、少なからず 追い風・向かい風のラッキー・アンラッキーの影響を受けることもあります。
このことについて、「人事のプロ 」(著作 長尾基晴 講談社)はこういっています。
「BSE・鳥インフルエンザ・気候変動による相場の変動…… または、偽装問題などの社会現象や、競合店の出店・撤退の環境要因など日常茶飯事である」
「このラッキー・アンラッキーを取り除いて、それぞれのスタッフが、実力で出した成果のみをとらえる技術はない」
……と 、だから成果は、
この「ラッキー・アンラッキーを含んだもの」…と捉えることにする。
この「人事のプロ」 (著作 長尾基晴 講談社)は、とても的を得たことを言っている書籍であります。一度読まれることをお勧めいたします。
要するに、賞与の配分を決める業績(成果)とは、それぞれの店や部門の現状から推し量り、
「これくらいの業績は、最低限確保できるだろう…」 という基本ベース(期待値)を設定し、
「そこからどれだけ伸ばせたか…?」を成果として見なすようにする……ということであります。
ここで絶対に大事になってくることは、
「どれだけ期待値をキチンと設定できるか…」 によって、公正公平が維持できることになる……ということになります。
では次回、「業績の成果の有無をどのように賞与額に置き換えるか?」 について解説いたします。
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