賞与額算出シュミレーション(店舗)

では今回は、A店をモデルケースにして、貢献度に応じた部門への配当と、さらに個々のスタッフへの賞与額を算出してみます。

 

<A店の純粋配当額を算出>

A店の粗利達成率は121%で、純粋配当率は33.7%でした。(「賞与額を店舗に、貢献度に応じて配分する方法」参照

この純粋配当率33.7%を全店賞与原資(2343万)に掛けてA店の純粋配当額を算出すると、

(純粋配当率)    (全店賞与原資)   (A店純粋配当額)

33.7% × 2343万 = 789.6万……でした

この純粋配当額は、その店の役職手当を算出する基本数値になります。

※詳細は(「賞与額を店舗に、貢献度に応じて配分する方法」参照)をチェックしてください。

 

<A店の役職手当額を算出>

では、A店の役職手当を算出してみましょう。

<役職手当>(役職手当率は、「賞与の決定方法と配分方法」を参照して下さい)

     (純粋配当額)(役職手当率)(役職手当額)(人数)(役職手当額)

店 長:789.6万×3.5%=27.6万×1人=27.6万

副店長:789.6万×1.3%=10.3万

主任分:789.6万×1.0%= 7.9万

       小計  2.3%=18.2万×1人=18.2万

主 任:789.6万×1.0%= 7.9万×4人=31.6万

レジ長:789.6万×1.0%= 7.9万×1人= 7.9万

副主任:789.6万×0.6%= 4.7万×3人=14.2万

                    小計 a 99.5万 

副店長は食品部主任を兼任しているため、副店長分の役職手当1.3%と、主任分1.0%の合計2.3%が役職手当となっています。

 

<非生産部門>

レ ジ:789.6万×▲0.3%=▲2.4万×2人=▲4.8万

事 務:789.6万×▲0.6%=▲4.7万×1人=▲4.7万

                     小計 β ▲9.5万

           A店役職手当配当分 a+β =90.0万

役職手当で配当される額は、非生産部門のマイナス分を引いて、90.0万となりました。

 

スポンサードリンク

 

<A店の評価ポイントを加味した実質の店舗配当額を算出>

では次に、評価ポイントを換算して配分された、実質の配当額を見てみましょう。

全店賞与原資から全店役職手当を差し引くと、全店基本ベース分の賞与原資が算出されました

 

(全店総賞与原資) -(全店役職手当額)  = (全店基本ベース分の賞与原資額)
2343万 -(A店90万+B店95万+C店111.8万)=2046.2万

 

これに、A店の実質配当率を掛けるとA店の配当額(基本ベース分)が算出されます。

(A店の実質配当率算出方法は「賞与額を店舗に、貢献度に応じて配分する方法」を参照してください)

(全店基本ベース分賞与原資)(A店実質配当率)   A店配当額(基本ベース分)

2046.2万 × 31.0% = 634.3万

この配当額(基本ベース分)に、A店に配当される役職手当分(90万)を加算すればA店の配当額が算出されます。

(A店基本ベース配当額)(A店役職手当)   (A店配当額)

634.3万 + 90万 = 724.3万

A店全ての基本ベース配当額の上に役職手当分が乗っかる形です。

<貢献度に応じた部門配当額を算出>

そして、この基本ベース配当額をさらに、成果によって支給される成果額(20%)と、全員一律に配分される均等額(80%)に振り分けます

※成果額と均等額の詳細は、「賞与額を店舗に、貢献度に応じて配分する方法」参照を参照して下さい。

   (A店基本ベース配当額) (成果率)

成果額:634.3万 × 20%=126.9万

 

この成果額の、1ポイント当たりの金額を算出します

A店全スタッフの評価ポイント数の合計は、1000ポイントでしたので、それで割ります。

成果額1ポイント当たり:126.9万÷1000P=0.1269万

 

では均等額を見てみましょう。

     (基本ベース配当額) (成果率)

均等額:634.3万 × 80%=507.4万

この均等額は、店長を含め全スタッフの基本となる配当額です。

均等額1人当たりの金額を算出しますと、

均等額1人当たりの金額:507.4万÷23人=22.1万

……となります。

わかりやすく、下の図で表記してみました。

A店配当額 計724.3万

                 役職手当額90万

実質配当額  

634.3万

成果額

20%

126.9万

生産部門=  

(成果額)    126.9万

(非生産部門)-24.1万 

        =102.8万

非生産部門

24.1万

均等額

80%

507.4万

22.1万22.1万22.1万22.1万22.1万

均等額一律22.4万に成果額が上乗せされるのですが、

成果額は、店舗の成果額(0.1269万)に自分の評価ポイントを掛けたものとなります。

そしてさらに、役職者は役職手当額が上乗せされます。

 

店長やレジ・事務など非生産部門はこれで良いのですが、

生産部門の成果額はさらに、部門の実績に応じた貢献度によって、この成果額の配分割り当てを決めます。

 

<非生産部門成果額>

ではひとまず、非生産部門の成果額を算出します。

それぞれの評価ポイントが下記のようだと仮定します

(評価ポイント) (能力給1P当たり) (成果額)

店 長:70P × 0.1269 = 8.9万

副店長:(食品部にて算出を参照)

レジ長:0P × 0.1269 = 7.6万

レ ジ:30P × 0.1269 = 3.8万

事 務:30P × 0.1269 = 3.8万

     非生産部門 成果額合計 24.1万

 

<生産部門成果額>

この非生産部門の成果額を、全体の成果額20%分の126.9万から引くと、生産部門の成果額が算出されます。

 (成果額)    (非生産部門成果額)(生産部門成果額)

126.9万 ー 24.1万 = 102.8万

生産部門も非生産部門と同様に、成果額1ポイント当たりの金額0.1269万を個々のポイントに掛けて算出すれば良いのですが、そうすると、貢献した部門も、貢献できていない部門も評価ポイントさえ同じであれば、部門の実績に関わらず、同じ配当額になってしまいます。

そこで、生鮮部門では、1ポイント当たりの金額(0.1269万)に、各部の貢献率を掛け、この金額に格差をつけます。

そうすることによって、貢献率の高い部門には、高い割合でポイント計算され、より多く配分されるようになります。

 

では、貢献度に応じた、各部1ポイント当たりの成果額算出してみましょう

※各部門の貢献率は、「部門の貢献率を算出する方法」で算出した数値で進めたいと思います。

 

成果額1ポイント当たり、0.1269万ですので、5部門で、

成果額5部門分=0.1269万×5部門=0.6345万

 

この5部門の合計ポイント0.6345万を、成果によって、配分される成果額20%と、均等額80%に分けます。

        (5部門ポイント合計)

成果額20%=0.6345万×20%=0.1269万

均等額80%=0.6345万×80%=0.5076万

       0.5076万÷5部門=0.1015万

 

そして、この成果額に貢献率を掛けて、各部の成果額を算出し、均等額を足せば、各部門1ポイント当たりの配当額が算出されます。

   (貢献率)  (成果額)  (各部成果額)  (均等額)各部門1P当たり成果額

精肉: 36.2% × 0.1269万 = 0.0459万 + 0.1015万 =0.1474万

青果: 21.0% × 0.1269万 = 0.0266万 + 0.1015万 =0.1281万

鮮魚:▲10.5% × 0.1269万 =▲0.0132万 + 0.1015万 =0.0883万

惣菜: 49.5% × 0.1269万 = 0.0628万 + 0.1015万 =0.1643万

食品:   3.8% × 0.1269万 = 0.0048万 + 0.1015万 =0.1063

                                              合計    0.1269万    0.5075   0.6345万

 

上記のそれぞれの部門1ポイント当たりの金額に、

個々のスタッフの評価ポイントに掛ければ……個々の成果額になります。

そして、A店全スタッフ均等額の22.1万を足せば、個々の基本ベースの配当額が算出されます。

更に、役職者は、これに役職手当が加算されることになります。

<例>

A店一般社員Cさん(評価ポイント20P)の場合

(ポイント)(成果額1P当たり) (成果額)   (均等額)  (基本ベース配当額)(役職手当) (配当額)  

20P × 0.1474万 = 2.9万 + 22.1万 = 25.0万 + 0万 = 25万

 

スポンサードリンク

 

<貢献度に応じた役職手当を算出>

では次に、生産部門の役職手当(主任・副主任手当)の算出方法を解説します。

生産部門の役職者には、自部門の達成実績にシビアになって欲しいため、主任・副主任の役職手当が一律いくら……ではなく、業績に応じて、これにも格差をつけます。

これは、頑張った主任もそうでない主任も、役職手当が同じ金額では公正公平とは言えないからであります。

頑張った主任には、それなりの報酬で報いたいものです。

ここでもやはり、主任の役職手当総額を、成果額(20%)と、均等額(80%)に分けて、これまでと同じように算出します。

※役職手当率(主任・副主任)は、「賞与額の決定方法と配分方法」を参照してください。

 

<主任手当算出>

(貢献率)(主任手当率)(主任手当)(人数) (A店総主任手当)

789.6万 × 1.0% = 7.9万 × 5人 = 39.5万

成果額(20%)=(A店総主任手当)39.5万×20%=7.9万

均等額(80%)=(A店総主任手当)39.5万×80%=31.6万

                31.6万÷5人=6.3万

    (貢献率)   (成果額) (各主任成果額) (均等額) 主任手当配当額

精肉: 36.2% × 7.9万 = 2.86万 + 6.3万 = 9.16万

青果: 21.0% × 7.9万 = 1.66万 + 6.3万 = 7.96万

鮮魚:▲10.5% × 7.9万 =▲0.83万 + 6.3万 = 5.47万

惣菜: 49.5% × 7.9万 = 3.91万 + 6.3万 =10.22万

食品:  3.8% × 7.9万 = 0.30万 + 6.3万 =  6.6万

                  7.9万         39.5万

 

<副主任手当算出>

(貢献率)(副主任手当率)(副主任手当)(人数)(A店総副主任手当)

 789.6万 × 0.6% = 4.7万 × 3人 = 14.2万

成果額(20%)=(A店総副主任手当)14.2万×20%=2.84万

均等額(80%)=(A店総副主任手当)14.2万×80%=11.36万

                 11.36万÷3人=3.79万

    (貢献率)(成果額)(各副主任成果額) (均等額) (不在分)主任手当配当額

精肉: 36.2%×2.84万= 1.03万 +3.79万 +0.23万 =5.05万

青果: (不在)

鮮魚:▲10.5%×2.84万=▲0.30万 +3.79万 +0.23万 =3.72万

惣菜: 49.5%×2.84万= 1.41万 +3.79万 +0.23万 =5.43万

:_(不在)____________________________                                          

               2.14万  11.36万 0.69万  14.2万

この店の場合、副主任が2名不在のため、副主任成果額に誤差が出てます。

本来2.84万のところ、合計が2.14万でしたので、差額2.84万ー2.14万=0.7万です。

これを3部門で割ると、0.23万です。それを、それぞれ均等に足してあげます。

 

<A店個々のスタッフの賞与配当額を算出>

これで、すべて数値が出揃いましたので、A店個々のスタッフの賞与配当額を算出したいと思います。

個々の評価ポイント数は、それぞれ仮に設定することにします。

 

(ポイント)(成果額1P当たり)(成果額)(均等額) (基本ベース)(役職手当)(非生産部差引分)(配当額)

店 長:70P×0.1269万 =8.9万+22.1万 =31.0万+27.6万 ー0万 =58.6万

副店長:(食品部にて算出)

レジ長:60P×0.1269万 =7.6万+22.1万 =29.7万+ 7.9万ー2.4万 =35.2万

レ ジ30P×0.1269万 =3.8万+22.1万 =25.9万+  0万ー2.4万 =23.5万

事 務30P×0.1269万 =3.8万+22.1万 =25.9万+  0万ー4.7万 =58.6万

   190P         24.1万+88.4万 =112.5万+33.5万 ー9.5万=138.5万

 

<精肉部>

達成率103.8%  配属人数 3名

(1P当たり成果額) (部門総獲得ポイント)(1P当たり部門配当額)

0.1474万 × 140P =20.64万

主任手当 9.16万  副主任手当 5.05万

(ポイント)(1P当たり成果額)  (成果額) (均等額) (基本ベース)(役職手当) (配当額)

A主 任:70P×0.1474万 =10.3万+22.1万 =32.4万  +9.2万  41.6万

B副主任:50P×0.1474万 =7.4万+22.1万 =29.5万  +5.1万  34.6万

Cさん :20P×0.1474万 =2.9万+22.1万 =25.0万  + 0万  25.0万

     140P        20.6万+66.3万=86.9万 +14.3万 =101.2万

 

<青果部>

達成率102.2%  配属人数 3名

(1P当たり成果額) (部門総獲得ポイント)(1P当たり部門配当額)

0.1281万 × 130P  =16.65万

主任手当 7.96万  副主任手当 不在 0万

(ポイント)(1P当たり成果額)  (成果額) (均等額) (基本ベース)(役職手当) (配当額)

A主 任:50P×0.1281万 =6.4万+22.1万 =28.5万  +7.96万  36.46万

B副主任:60P×0.1281万 =7.6万+22.1万 =29.7万  + 0万  29.7万

Cさん :20P×0.1281万 =2.6万+22.1万 =24.7万  + 0万  24.7万

     130P        16.6万+66.3万=82.9万 +7.96万 =90.86万

※この青果部のように、副主任が頑張って、主任より評価ポイントが良い場合でも、配当額は逆転しにくくなっています。

 

<鮮魚部>

達成率100.4%  配属人数 4名

(1P当たり成果額) (部門総獲得ポイント)(1P当たり部門配当額)

0.0883万 × 150P =13.25万

主任手当 5.47万  副主任手当 2.98万

(ポイント)(1P当たり成果額)  (成果額) (均等額) (基本ベース)(役職手当) (配当額)

A主 任:50P×0.0883万 =4.4万+22.1万 =26.5万  +5.47万  31.97万

B副主任:50P×0.0883万 =4.4万+22.1万 =26.5万  +2.98万  29.48万

Cさん :30P×0.0883万 =2.6万+22.1万 =24.7万  + 0万  24.7万

Dさん :20P×0.0883万 =1.7万+22.1万 =23.8万  + 0万  23.8万

     150P       13.1万+88.4万=101.5万 +8.45万 =109.95万

 

<惣菜部>

達成率105.2%  配属人数 4名

(1P当たり成果額) (部門総獲得ポイント)(1P当たり部門配当額)

0.1643万 × 180P =29.6万

主任手当 10.21万  副主任手当 5.8万

(ポイント)(1P当たり成果額)  (成果額) (均等額) (基本ベース)(役職手当) (配当額)

A主 任:60P×0.1643万 =9.9万+22.1万 =32.0万  +10.21万  42.21万

B副主任:50P×0.1643万 =8.2万+22.1万 =30.3万  + 5.8万  36.1万

Cさん :40P×0.1643万 =6.6万+22.1万 =28.7万  + 0万  28.7万

Dさん :30P×0.1643万 =4.9万+22.1万 =27.0万  + 0万  27.0万

     180P       29.6万+88.4万=118.0万 +16.01万 =134.01万

 

<食品部>

達成率100.4%  配属人数 5名

(1P当たり成果額) (部門総獲得ポイント)(1P当たり部門配当額)

0.1063万 × 210P =22.3万

主任手当 6.6万  副主任手当 不在 0万

(ポイント)(1P当たり成果額)  (成果額) (均等額) (基本ベース)(役職手当) (配当額)

A主 任:70P×0.1063万=7.4万+22.1万 =29.5万 +6.6万+10.3万  46.4万

B副主任:50P×0.1063万 =5.3万+22.1万 =27.4万  + 0万  27.4万

Cさん :30P×0.1063万 =3.2万+22.1万 =25.3万  + 0万  25.3万

Dさん :30P×0.1063万 =3.2万+22.1万 =25.3万  + 0万  25.3万

Eさん :30P×0.1063万 =3.2万+22.1万 =25.3万  + 0万  25.3万

     210P       22.3万+110.5万=132.8万 +16.9万=149.7万

※食品部主任は副店長が兼任しているため、役職手当は、副店長分(6.6万)と主任分10.3万の合計で算出します。

A店賞与配当額 合計724.22万(誤差0.08万)

 

では、A店の配当バランスを見てみましょう。わかりやすく表にしてみました。

 

A店達成率121%  

           役職手当        90万

           基本ベース配当額 634.3万

                    724.3万

 精肉青果鮮魚惣菜食品
達成率103.8%102.2%100.4%105.5%100.4%
人数3名3名4名4名5名
ポイント計140P130P150P180P210P
部門配当額101.2万90.86万109.95万134.01万149.7万
部門1P当たり0.1474万0.1281万0.0883万0.1643万

 

0.1063万

 

 

(評価ポイント)(配当額)

店 長:70P  58.6万

副店長:食品部参照

レジ長:60P  35.2万

レ ジ:30P  23.5万

事 務:30P  21.2万

  精肉青果鮮魚惣菜食品

Aさん 

主任

ポイント(70P)(50P)(50P)(60P)(70P)
配当額41.6万36.46万31.97万42.21万46.40万

Bさん

副主任

ポイント(50P)(60P)(50P)(50P)(50P)
配当額34.6万29.7万29.48万36.10万27.40万
Cさんポイント(20P)(20P)(30P)(40P)(30P)
配当額25.0万24.7万24.70万28.70万25.30万
Dさんポイント  (20P)(30P)(30P)
配当額  23.80万27.00万25.30万
Eさんポイント    (30P)
配当額    25.30万

では、次回、常務、本部長、部長、本部事務員の「本部の賞与額算出シュミレーション」をします。

 

人事考課 「給与・賞与の決定方法は?」

業績の成果の有無をどのように賞与額に置き換えるか?

賞与額の決定方法と配分方法

賞与額を店舗に、貢献度に応じて配分する方法

部門の貢献率を算出する方法

賞与額を部門とスタッフへ、貢献度に応じて配分する方法

 

 

スポンサードリンク

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA