牛肉ランプ肉のスペックの作り方と商品化の方法
牛肉の半身(半丸)を小分けにして真空状態で納品してもらうためのスペック(小分けの仕方)と、商品化できる用途について解説します。
A4クラスの和牛はスペック化して、パーツをうまく組み合わせながら使うことをお勧めします。モモ肉にあたる部分はセット状態に分けると、「ランイチ」「丸モモ(シンタマ)」「ウチモモ」「外モモ」の4つに分けられます。
今回はモモセットの中の「ランイチ」の部位についてのスペック化について解説します。
<ランイチとは>
ランイチはちょうど、サーロインから続くとなりあわせの部分で、お尻のあたりになります。サシは入りにくい部位ですが、モモ肉のなかでは柔らかく旨みのある赤身の部分で、厚切りのステーキとしても食することができます。
ランプステーキとは、この部分のステーキのことです。
ランイチは小分けすると、ランプとイチボに分かれ、ランプを更にランナカとランボソに分けることができます。このランボソはヒレと同じくらい柔らかいお肉ですので、「ラムヘレ」とも呼ばれているみたいです。
スペック化をするには、ランナカ・ランボソ・イチボの3分割に分けるか、ランプとイチボの2分割で真空パックをかけることをおすすめします。
使用用途は主に、ステーキ用、ローストビーフ用、焼肉用で、そこそこ利益の取れる部位になりますので、ロスが出ないよう丁寧に商品化をしましょう。
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<ランナカ>
ランナカを商品化するにはランボソと平行に、ランナカを半分にカットしてサクどりをして、ミニステーキにカットしたり、ローストビーフ用にするのが良いと思います。
ランナカはステーキで食すことができるほど柔らかいお肉なので、焼肉用ではもったいないです。ステーキ用としてしっかり利益を稼ぎましょう。
商品化する際、ランナカは表面にランカブリがあります。この部分は硬いのでカレー・シチュー用か、切り落とし材にします。
その下に薄めのネクタイと呼ばれる部分が乗っかっています。この部分は柔らかいお肉なのでそのままつけて商品化しても良いのですが、はがして筋をきれいに取り除いて商品化したほうが商品価値は上がります。
脂肪や筋はきれいにすべて取り除き、グリムキ状態にしてから商品化をします。
(参考商品アイテム)
黒毛和牛ランプステーキ……780円/100g
黒毛和牛ローストビーフ(タタキ)用ブロック…880円/100g
<ランボソ(ランヘレ)>
この部分はヒレと同じく、1頭の中でもわずかしか取れない貴重な部分で、ヒレと同じように赤身肉の柔らかい部分です。ランプステーキより厚めのステーキにカットして少し付加価値をつけて、ランプステーキより少々高めに価格設定をしましょう。
(参考商品アイテム)
黒毛和牛ランヒレステーキ……880円/100g
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<イチボ>
このイチボは、きれいなサシが入り美味しそうに見えますが、ランナカより少し硬めなので、ステーキよりは焼肉用におすすめです。イチボはナカニク(外モモ)につながっていきます。
イチボステーキで販売できる柔らかい部分はわずかです。ナカニクに近づくと硬くなるのでステーキでは危険です。
手切りで焼肉用にカットしていくときに、サシの入り具合が目なりにならないように、繊維の流れを見極めて、サクどりをしていきます。
(参考商品アイテム)
黒毛和牛赤身焼肉用……580円/100g
黒毛和牛赤身焼肉用……1280円/230g入り1パック
100g入り前後の1人前用のパックは100当たり580円で量り、お得感を出すのに、大きなパックに230gを盛り付けて1280円の定額で販売するとよく売れます。
焼肉用にスライスしたあと残った端財は、正方形にカットしてジャッカーとをいれて、サイコロステーキとして商品化しても良いと思います。
(参考商品アイテム)
黒毛和牛サイコロステーキ……580円/100g
その他、牛肉のタタキ刺身用としても良く売れます。牛肉のタタキ刺身用としてサクどりをし、表面を強火で焼き上げたあと即、冷凍庫で冷やします。しばらく冷凍庫でしめてから商品化します。
このとき、まな板・包丁・手洗いなど衛生管理はアルコール消毒など、きちんとしたマニュアル通りに行いましょう。夏場など気温の高いときは、冷蔵庫のなかに調理器具を持っていき、冷蔵庫の中で商品化したほうがよいでしょう。
昨今では、焼肉屋さんの食中毒事件をきっかけに、スーパーマーケットでは生食用の提供を自粛する店が多くなりました。くれぐれも生食用の取り扱いには十分気を付けてください。
赤身にあたるモモ肉の部分は、全体のなかでかなりの割合を締めますが、ランイチは唯一、高値で販売できる部位です。しかしランイチは脂肪が厚く、歩留りが良くないのでしっかりと利益を確保していきましょう。
ランイチはいろいろな商品化ができ、バリエーションが豊富に商品構成ができます。ロスが出ないようどのように商品化し品揃えに幅をもたせることができるか……魅力ある商品構成の売り場作りをすることができるか腕の見せ所です。
ランイチをスペック化することで、牛肉の商品化の経験が少ないパートさんでも、豚肉の商品化ができるようになれば、次のステップとして、ランイチの商品化を教え込んでも良いと思います
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